2008年08月 アーカイブ

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FMI 食品安全についての報告書(2008年7月)

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食品安全:スーパーマーケットからの視点
          
                              Food Marketing Institute
                              2345 Crystal Drive, Arlington, VA 22202
                              電話 202-452-8444
                              ファックス 202-429-4519
                              fmi@fmi.org ■ www.fmi.org


米国の食品小売および卸にとっての重要な目標は、販売する商品が安全であることを保証することである。消費者の購買代理人として、そして、サプライチェーンの最終者としてスーパーマーケット業界は、国内の食品供給制度をより安全なものとする方法を常に追求している。その結果、米国の消費者は、年間を通じて、幅広い品揃え、利便性、そして安全かつ豊富な食品を享受することができるのである。


小売および卸各社には、食品の安全と予防のために、事前・事後を問わず対処してきた長い歴史がある。彼らは、独自に、あるいはFMIを通じて共同し、多面にわたり食の安全を強化してきた。たとえば、小売および卸各社は世界規模でサプライヤーと取り組み、スーパーマーケットや倉庫での厳しい基準を満たし、米国農務省の『Food Code(食品規制)』各項を店長およびスタッフに確実に遵守させ、最も重要な食品安全習慣を身につけるよう消費者を啓蒙する支援を、地域社会での多数の活動を通して行ってきた。


FMI理事会は、2007年6月、「Food Safety Task Force(食品安全特別専門委員会)」を組織することによって、食品安全の向上に業界が関与することを再確認した。当特別専門委員会は、次の要件を最優先課題としている。
     1. 食品流通の安全性に対する消費者の信頼を強化すること
     2. 食品に起因する病気を減らす対策を立案すること
     3. 栄養価があり健康によい食品の選択方法を消費者に教示すること
     4. 米国食品流通の安全性向上のための業界全体の方針を策定すること
さらに当特別専門委員会では、焦点を当てるべき5つの主要実施分野を特定している。
     ・ 食品のリコール(不良製品回収)制度の改善
     ・ 小売・卸・サプライヤー間の食品安全対策と優先事項の列挙
     ・ 模範の確定とその実行
     ・ トレーサビリティを含む手段を用いた農作物の安全向上
     ・ 顧客に対する教育企画の充実


1.食品流通の安全性に対する消費者の信頼を強化すること
調査によると、消費者の食の安全に対する信頼度は、市場での出来事に大きく左右されていることがわかる。最近の悪疫や食中毒原因菌の突然発生、リコール、食の安全を脅かす事件のマスコミ報道が消費者の信頼を低下させ、常に変化する市場で食品の安全を確保することが新しい課題となっていることを表している。2007年、スーパーマーケットで購入する食品の安全に対する消費者の信頼度は、1989年以来最低となった。FMIが毎年発行する『U. S. Grocery Shopper Trends』(以下、『Trends』)で報告された消費者調査でも、消費者の信頼度は、2006年の82%から2007年は66%に低下している。同じ調査でレストラン食に対する信頼度はさらに低い42%であった(2007年)。


2008年、連邦政府と企業各社が協働で食の安全向上の取り組みを行ったため、消費者の信頼度は回復した。2008年版『Trends』で実施したアンケートに、81%の消費者がスーパーマーケットで買う食品を「十分信頼」あるいは「ある程度信頼」していると回答した。しかし、この信頼はもろい。この81%のうち、「十分信頼している」と答えたのはわずかに11%で、70%が「ある程度信頼している」と答えている。


高いレベルの信頼度を確保するために、業界と政府は、市場における変化に果敢に取り組まなければならない。具体的には、食品の新しい生産地をどう扱うか、生産・物流手法をどう進化させるか、そして量と種類が増える輸入品にどう対処するか、などである。故意・過失に関わらず混入する汚染物質から我々の食品を守る積極的な取り組みを必要としているのである。米国の食品流通の安全性と品質は、農場からフォークまで、つまり、生産、加工、保管、物流といったあらゆる段階で守られなければならない。複数業種を巻き込む努力は、生産者、加工業者、小売、政府、科学機関などの積極的な参加と協力が不可欠である。消費者が期待し続ける権利を有する安全で高質で手頃な価格の食品の継続的な入手を保証するために、サプライチェーン全体で取り組むことによって、FMIとその会員企業は食品の安全性の向上に寄与している。


2.食品に起因する病気を減らす対策を立案すること
FMIの会員企業は、サプライヤーと提携し、消費者が購入する食品が安全であることを確実なものとしようとしている。一つの方法は、安全な食品の生産、製造のための厳しい基準で、独立した第三者機関により認証してもらうということである。サプライヤーは、HACCPなど確立された危険評価制度を使って、自社の食品製造方法の安全性を確保するように製造業務を行い、これを監視できる。これらが適切に行われているかどうかは、信頼できる認証方法を持つ監査プログラムにより証明することができる。


The Safe Quality Food Supplier Certification Program(安全で高質な食品を供給するサプライヤー認証プログラム)
サプライヤー業界がこの新たな高レベルの信頼度に到達できるよう、FMIでは、Safe Quality Food(SQF)プログラムを提供している。これは、先進的かつ国際的な食品の安全と品質に対する保証プログラム・管理システムで、世界中の小売業やサプライヤーのニーズを満たすように設計されたものである。SQFプログラムは、サプライヤーの食品安全・品質管理システムが国際的および米国内の食品安全規制に沿っている事実に対して独立した認証を与えるプログラムである。この認証を得たサプライヤーは、今の基準では最高の水準で、食品が生産、加工、調理、取扱されていることを保証するものである。
1994年に立ち上がったこのプログラムは、SQFインスティテュートというFMIの一部門が管理している。これまでに、アジア太平洋地区、ヨーロッパ、中東、南北アメリカで1万件以上の証明書を発行した。
SQFを持ったサプライヤーとの取引を好む米国および海外の小売業、フードサービス企業が増えつつあり、SQF認証は彼らに支持されている。さらに、SQFプログラムは、国際食品安全システムの相互受け入れに関するグローバル企業7社間の画期的協定にも盛り込まれている。このプログラムは、Global Food Safety Initiative(GFSI)が承認する唯一のプログラムでもある。GFSIは、基幹食品の生産および製造、保管、物流、売買代理業者・仲買人の管理に対し認証制度を実施している。


The SuperSafeMark(R) 従業員向け教育・認証制度プログラム
米国内の小売環境内で、店長およびスタッフに食品の安全に関して教育することは公衆衛生の側面からも重要なことである。FMIは、米国農務省『食品規制』に則り、食品の安全な取り扱い方法についての教育プログラムを提供している。2003年にFMIは、SuperSafeMark(R)を立ち上げた。これは、食品小売の従業員を対象とした初めての包括的な食品安全と衛生教育である。このプログラムでは、時間・温度管理を用いて食品起因の病気と戦う方法、交互汚染を防ぐ手法、身体の清潔・清掃・衛生管理の手本を提供している。現在、SuperSafeMark(R)は、毎年15,000人の店長および店のスタッフを教育し、証書を与えている。


食品リコール通知改善のイニシアチブ
FMIの会員企業は食品リコールに関する通知についてもその改善を図るためサプライヤー各社と密接に取り組んでいる。リコール対象商品が発生した場合、業界は迅速かつ効率的に対応しているが、FMI会員企業各社としては、この仕組みがさらに改善できると考えている。一年をかけたプロジェクトで、FMI Recall Collaboration Zoneと呼ばれる電子リコール・ポータルを小売、卸、サプライヤーがすでに開発し、現在試験中である。このポータルは、UPCや数多くの技術基準や世界の各種業界の綱領を管理監督していたUniform Code Council(統一コード委員会)の後身であるGS1により運営されている。このポータルは、毎日24時間体制で、迅速かつ正確にサプライヤーが小売や卸各社に情報を流す自動警告システムを備えている。したがって、その情報を受けた小売各社は即座に対象商品を棚あるいは店の在庫など流通過程から取り除くことができる。


3.栄養価のあり健康によい食品の選択方法を消費者に教示すること
FMIは長い間、消費者に対し、自宅で安全に食品を扱う方法について、実際的かつ科学的根拠に基づいたガイドを提供してきた。Partnership for Food Safety Education(食品安全教育のための提携)の創業メンバーとして、FMIは、消費者に対する有意義な食品安全教育プログラムの開発を継続してサポートしていく。この組織は、消費者団体、FDA(米国食品・医薬品局)、USDA(米国農務省)、CDC(米国疾病予防センター)、各種業界の協会団体、健康・科学関係団体から成り立っている。この組織は、子供たちに学校で食品の安全について教えるFight BAC!(菌と戦う)キャンペーンを考案し、表彰された。中でもBAC Down!(菌を殺す)プログラムは、冷蔵庫の温度が華氏40度以下という安全な温度に確実に保つために温度計を使うことを奨励している。最近では、この組織は、USDAとの協力で、Be Safe Food(安全な食品であるために)キャンペーンを立ち上げ、安全な食品の扱い方について、小売各社がお客さまを教育する幅広い材料を提供している。


8,100万人の消費者に商品を提供している約6,000のFMI会員企業が、自主的に店内および店外での消費者との各種取り組みを通じて、Be Food Safe を展開している。このキャンペーンでは、安全な食品取扱の基本的かつ大切な行動をカラフルなアイコンや写真を使って示すことを奨励している。
     ■Clean(汚れを落とす)―― 手および食品の表面を洗う
     ■Separate(分離する)―― 食品の相互汚染を起こさない
     ■Cook(火を通す)―― 適切な温度で食品を加熱する
     ■Chill(冷やす)―― 迅速に食品を冷蔵する

連邦政府機関、業界団体、消費者団体の間で締結された覚書により運営されているThe Partnership for Food Safety Education は、アメリカ人に食品を安全に取り扱う方法を教えるには非常に効果的に機能してきた。


4.米国食品流通の安全性向上のための業界全体の方針を策定すること
食品業界は、消費者が購入する食品を守ることに長年にわたり積極的に取り組んできた歴史を持つ。しかし、政府も強いリーダーシップを発揮しなければならない。今日まで、食品安全に関する規制は、法で定められたさまざまな権限によって妨げられてきた。FMIおよび会員企業各社は、食品安全を全体から監視するシステムを強化するためには以下のような政策が必要であると考える。


A. 主軸となる食品安全局の設定
連邦政府、州政府、地方行政など複数機関が施行した法律や条例の不均等な寄せ集めによって、米国の食品安全規制は履行されている。その結果、ある部分は不効率に重複し、ある部分は規制・機能が欠落する事態となっている。急速に進化する食品供給システムが直面する現在および将来の課題に真摯に取り組めるよう、この仕組みを作りかえられなければならない。食品システム全体の安全性の統括責任を負うべき主軸となる食品安全局を指名する時期が来たとFMIは考えている。当機関設立に必要な資源は、現存する複数の担当局内に存在する。課題は、再構築と再配置である。現在の重複している部分を見直すことで、かなりの予算節約が可能となり、全体的な実績の改善およびより安全な食品供給体制を構築できる。


B. より統一され、効率的なリコール制度の確立
リコールは、これまで、適時かつ効率的な方法で、自主的に業界内で実施されてきた。しかし、USDAあるいはFDAのいずれもが汚染された食品のリコールを命令する法的権限を持たないことを知り、多くの消費者は驚く。我々はこれら連邦政府機関が、人間あるいは動物の健康を著しく害するあるいは死に至らしめる差し迫ったリスクがあるとFDAあるいはUSDAが認めた商品の回収を企業が拒否あるいは遅らせたとき、これら政府機関は強制的に命令できる権利を有するべきであると考える。2007年11月16日、FMI理事会は、前述の状況下でリコールを命令する権限をこれら政府機関に持たせることを支持する声明を採択した。(【添付資料】参照)


C. 商品グループごとの追跡システムの開発
その食品の原料までさかのぼって追跡する各生産・製造業界の能力を向上させる仕組みを、政府は要するべきである。そういう仕組みが整っていれば、USDA、FDAあるいは業界は、食品に起因する病気を予防するもしくは爆発的拡大をより迅速に抑圧することができる。各生産・製造業界は、費用効率が高く現在の業務を補完するような自動追跡システムを構築することが義務付けられるべきである。


D. 第三者機関の役割拡大
今日の食品サプライチェーンが広域かつ末端まで網羅していることを考えると、国内外に流通しているすべての食品が安全であることを保証し、すべての食品安全基準を満たしていることを証明するための検査に必要な十分な資源を、USDAとFDAのいずれも持っていない。将来的に食品安全システムを評価する政府の役割を強化するには、民間の管理・承認プログラムを慎重に活用する必要がある。第三者食品安全認証公認プログラムの認定基準作りの権限をFDAとUSDAの双方に与えられるべきである。業界では、独立した、効率的かつ信頼できる食品安全認証システムを確立している。その一例がFMIのSQFプログラムである。FDAとUSDAは、総合的なリスクマネジメントおよび検査制度の一部として、民間部門を活用することを認められるべきである。


E. 特定輸入品に対する認証制度
FDAとUSDAはまた、SQFなどの民間設定の認証プログラムを輸入食品の安全性評価に活用することを認められるべきである。政府は、リスクの高い商品や施設を優先的にチェックし、もっとも必要とされているエリアに集中的に資源を投下する手段として、民間認証部門を活用すべきである。FDAには今の機能をきちんと発揮するための十分な予算および人的資源がなく、ましてや新規大量の海外での検査・認証業務を実施することはできない。FDAが承認した国あるいは施設からの食品しか輸入できないとなると、米国食品産業が海外から食品を調達する機能は著しく失われることになる。


結論
FMIの会員である小売や卸各社は、今後もお客さまを守るため、食品の安全性を強化する新しい方法を探し続けていく。アメリカ人は、世界で最も安全で、最も手頃な価格で、そして豊富かつ多様な食糧を有するが、より安全性を高めるためにできることはまだまだ存在する。米国の食糧供給元が常に変化するように、我々の安全基準や制度もそれに対応して変化していかなければならない。FMI会員企業は、議会、ホワイトハウス、政府機関、その他業界機関、学界、消費者団体とともに、適切な食品安全科学に基づいた実行性のあるシステムに改善することを推し進めていく。FMIおよび会員企業にとって、食品安全は常に最大重要事項なのである。


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【添付資料】
理事会承認方針
                     リコール権限
                  2007年11月16日採択

■Food Marketing Institute(FMI)は、人間あるいは動物に対し重大な健康被害あるいは死に至らしめるような差し迫ったリスクがあるとFDA(米国食品・医薬品局)およびUSDA(米国農務省)が認めた商品を自主的に回収することを拒否あるいは遅らせた企業に対し、FDAおよびUSDAが強制的にリコールを命じる権限を持つべきことを支持する。
■この権限は、現在機能する仕組みを強化するため、もしくは、さらに透明性があり正確なコミュニケーションを促進するために、発動されるべきである。
                                            以上